葉山 耕司さん (株)紅蘭亭 代表取締役
YAMAHA SR500

フルカウルのスーパースポーツでは、田舎道に似合わない。
パワーとそこから生み出されるスピードも、景色を置き去りにしてしまう。
SRなら、ふとした時に止まれる。
通りすがりのおじいさんおばあさんに話かけても、相手もそう構えないだろう。

バイクを意識した一番古い記憶は、スーパーカブを自由自在、手足のように扱う大人を見たとき。
そういわれてみると、キック一発エンジンを起こし、鮮やかにスタンドを払い、矢継ぎ早にシフトアップしていく姿は手足のように自由自在に扱っているように見える。子供の目にはかっこよく映ったのだろう。
バイクの記憶では、他にも小学生時代、藤園中学校の裏の道(当時は未舗装)を雨上がり、学生服のやんちゃな兄ちゃんがノーヘルで前輪を高々と上げながら走り去ったシーンは今でも鮮明に残る。

大学進学で上京。自身初のバイクを手に入れる。それがSRだった。SRはそれから計2台乗り継ぐ。
帰熊後、CRM250を入手したが、学生時代とは違いバイクに乗る時間がなかなかとれなくなっていった。

またバイクに乗ろうと思ったのは2011年。
いいものがないかと探してもらっていたとき巡り会ったのは、またSRだった。
インジェクションではなくキャブレター。
Frブレーキもディスクでなくドラム。
走行距離も1500km。
なかでも、心惹かれたポイントは500ccだったこと。
状態がいい500はそうは出て来ない。すぐに購入を決めた。
決めた後に大型免許をとりに。
教習所は迷う事も無くTERRA BALへ。久々に教習や授業という環境に身を置く。
自動車学校なんてもう一生行く事は無いと思っていただけに新鮮だった。
試験を受けるのも新鮮。2週間ほどでカリキュラムを終え、大型免許を取得。
「合格」というのも新鮮だった。

やっとSRを受け取りに行ける。やっと自分のものになる。
納車の日、風が顔にあたる感覚を久々に感じた。空冷単気筒SOHC500cc。
いかにも機械を操作している感じ。
SRが景色に入っていく。
そんなSRに速度感がぴったりの気持ちのいい道が熊本にはたくさんある。
もし知らない道が行き止まりでも車重の軽いSRならUターンも苦ではない。

葉山さんのお気に入りのコースは、秋の大津・矢護山。
そして天水、金峰山周辺。
みかん畑を抜ける道はイタリアの田舎道を走っている気分。
カヤックや音楽活動。
仕事以外も多忙な葉山さんにとってバイクとは?
「日常重力圏からの脱出であり、リリース。息苦しさからの解放。」


紅蘭亭 (こうらんてい)
住所 〒860-0801 熊本市中央区安政町5-26
TEL 096-352-7177