トライアンフ デイトナ 675

曇天模様の下、大津。本田技研熊本工場内にあるサーキットHSR九州に高本彰さんはいた。
地元バイクショップ主催のサーキット走行会に参加するためだ。
高本さんのバイクはトライアンフ デイトナ675。ヘッドライトやテールランプ、ウィンカーなどの保安部品は取り外され、このままでは公道を走ることはできない。ここまでは、1BOXバンで運ぶ。排気効率のいいマフラーに替えられ、タイヤもほとんど溝がないサーキットユースのもの。いわば、レーサーである。このバイクを手に入れた時からすでに、レーサーの状態だった。

レーサーを所有するのはこれが初めてではなくこれまでも排気量の大小は違っても複数台レーサーを乗り継いできた。このように書くと、「かなりのお金持ち」「普通の仕事じゃない」「どっかの社長か、ボンボンだろう」と思う人もいるかもしれないが、彼の仕事は会社員。
会社を経営しているとか、どこかの御曹司ではな い。
「独身貴族が、給料つぎ込んでるんだろう」という想像も違っていて、二人のお嬢さんのパパ。奥様と娘さんがピットに姿を見せることもたびたび。
趣味として週末、サーキット走行を楽しんでいる。年に数回のレース参戦もするが、あくまで草レース。「いつかはプロに」という発想ではない。

ひとたび、ヘルメットを被り、レーシングスーツに身を包んで、コースに出れば、真剣だ。
自分の限界まで走る。限界を超えれば転倒も。
しかし、サーキットは一般道とは違って、コース各所にSTAFFが待機している。転倒すれば、すぐに救助される。動けない程であれば救急車もスタンバイしている。メディカルセンターもある。
公道でルール無視で飛ばすのとは、全く違う。

走りのレベルに応じたクラス分けがされた走行会。初心者クラスはレーシングスーツの着用義務もなく、ナンバー付き車両でも参加できた。
この日一番熟練したクラスに高本さんは参加。
レースではないとはいえ集中する。
走行ラインやブレーキングポイント、アクセルを開けるポイント、ギヤの選択、タイヤのグリップ力、ライディングフォーム。前を走るライバルのクセ、考える事は山ほどある。
走行時間を走りきりピットに戻ると、マシンのチェック。次の走行に備える。メンテナンスもある程度は自分で。専属のメカニックが付くワケではない。

しかし仲間はいる。その日は走らなかった仲間が、レーサーにしたため自立しないバイクをささえたり、タイヤウォーマーを巻いたり、外したり手伝ってくれる。
同じように高本さんも走らない時、サーキットに顔を出せば同じように手伝う。
そしていざ、レースとなれば仲間達が集まりライダーをサポートする。
(ちなみに鈴鹿8時間耐久ロードレース「SMART DRIVER KUMAMOTO RACING TEAM」のチームスタッフとして高本さんも参加。)

サーキット走行している人々は皆、プロレーサーやそれを目指す人ばかりではなく、アマチュアもいる。
普段はバイクとは関係ない仕事をしている人の方が多い。
レースが縁で知り合った人と仕事でつながったりもした。
逆に仕事の中で、バイクのレースをしてる話題が出て、そのおかげでスムーズに事が運んだこともあった。

そんな高本さんもTERRA BALで大型二輪免許をとったOB。
彼のバイクライフの1ページにTERRA BALが関わっていた。
「バイクに乗ると世代を超えて友達が増えますよ」
まだ、バイクの世界を知らない人に送りたい彼の言葉。

高本彰さんがバイクのメンテナンスをしているショップはこちら
TEL: 096-281-7650
FAX: 096-281-7651
営業時間 10:00 ~ 19:00
定休日 毎週水曜日&第1日曜日
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