前田進が考えるバイクライフ
バイクが人生を更新してくれる
-ショップの近況を。
前田 以前からヨーロピアンのバイクが好きで、BMW、モト・グッツィ、ベスパなどドイツ・イタリアのバイクに乗り継いで早いもので35年になります。この仕事を始めたのは1978年からです。
ヨーロピアンのバイクは、眺めて良し、乗って良し、触って良しの良々づくしで、楽しいですよ。
-お店にカフェがあるんですね。
前田 1978年のオープン当時から店舗は数カ所移りましたが、常に店内にはカフェを設けてきました。バイク屋さんと言ったら、立ち話で、油臭くて、ゆっくりと話が出来るような雰囲気がないといったイメージを持たれる方もいらっしゃいます。だからバイクショップ内にカフェを持つことで、お客さんにのんびりとしてもらいたいと思ってます。そうすれば話も弾み、本音も聞けて楽しいんですよ。
-お客さんの層は。
前田 住職、医者、サラリーマンから経営者まで様々ですよ。ここに来るとみんな平等ですから、病院や職場でいくら威張っていてもみんな一緒です(笑)。カフェではいつもバイクの話で盛り上がっています。
-バイクとの出会いは。
前田 小学校、中学校とずっと自転車のロードレースをやっていたんですよ。自転車をこいで、息を切らしながら「ぜーぜー」言いながら走るのがきつくてね。もういやだと思ってたんですよ。そんな頃、ちょうど当時行きつけの自転車屋さんにエンジンを搭載したスポーツカブが売ってあって、中学生だったのに本気で「これ買う!」って言って笑われたんですよ。免許も持ってなかったのにね(笑)。結局、広場で乗るからと無理言って、自転車を下取りに出してスポーツカブを購入したんですよ。「なんて楽な乗り物なんだ。ペダルをこがなくても前に進む」と思いましたよ。これがバイクとの初めての出会いでした。
その後、大型バイクではカワサキのマッハ500に乗ったのが初めてでした。学校卒業後は仕事で東京あたりを転々として、都会って色んなバイクのるつぼで、当時はなかなか見られない珍しいバイクを見るチャンスもあって、その度に良いなと思ってました。また、しょっちゅうカフェに通ったりしていましたので、カフェとバイクって面白い繋がりだよなとその頃からずっと思っていたんですよ。それで熊本に戻ってきて、カフェとバイクショップを始めたんですよ。
-バイクの楽しみ方は。
前田 カッコつけて言うと、バイクって基本一人で乗る物じゃないっすか。だから、当時ライダーの間で人気だった作家・片岡義男に私も夢中で、昔はよく「片岡する?」って言ってバイクに目的地も決めずに乗って峠に行って下界を見て帰ってくるだけでもスッとしますよね。カッコつけてバイクで走って楽しんでましたね。
バイクに乗る時は、乗るバイクによってファッションも変えて楽しんでますよ。モト・グッツィに乗る時はモト・グッツィの革ジャンを着たり、ベスパにはベスパのヘルメットを被ったりと安全性とお洒落にも心掛けています。頭は一つしか無いんだから、ヘルメットは一つあればいいじゃないとよくお客さんに話すんですが、やっぱり皆さんお洒落を楽しみたいのかいくつも買っちゃうんですよね。今年で還暦を迎えましたが、ツーリングなどの外遊びで肌は真っ黒、健康的でしょ(笑)。
-おすすめのスポットは。
前田 昔から眺めの良い高い場所へのツーリングは好きでしたね。今でも天草や阿蘇などに時間さえあればツーリングに出掛けてます。やまなみハイウェイや四国の剣山の道などどちらかというと山へのツーリングが好きですね。
-バイクに乗る際に気を付けていることは。
前田 横断歩道で子供たちやお年寄りの方が渡ろうとしている時は、必ず止まって渡してあげたいなと思いますね。だからピタリと止まります。「走る、止まる」とメリハリをつけることを大切。足をきちんと地面につけて、車輪を止めて確実に一旦停止は、きちんと止まるようにしています。
-おすすめのバイクは。
前田 「MOTO GUZZI V9 BOBBER(モト・グッツィV9ボバー)」です。見た目はクラシックで、モト・グッツィとしては最後の空冷モデルになるかもしれません。今後は水冷になっていくかと思います。モト・グッツィ創業95年を機に投入された新型V9は、縦置き90度V型エンジンの心躍らせるトルクのドコドコ感が特徴的です。太いタイヤを装着し、無駄なパーツを極限までそぎ落した「ボバースタイル」は、クラシックとアグレッシブをバランス良く調和した本物のライダーの期待に応えてくれると思いますよ。ABSやトラクションコントロールなど安全性を高めた装備も魅力的です。
-人生においてバイクとは。
前田 バイクと関わることで人生は常に「更新」されているように感じます。新しいバイクに乗れば、自分のテクニックがまだまだだと教えられ、心地よい風、よどみない風を受けながら走れば、心豊かな和みを教えられます。バイクに乗ることは、人生の道を走ることに似ているかもしれませんね。長い間バイクと付き合っていますが、今でも新しい発見があります。同じ道でも、景色が変わったり、エンジンの感触が違ったり、どこか新しい部分に気付かされます。毎回違うからこそ心の中の「更新」があり、人生に若さと元気を与え続けてくれるんですよ。
-ありがとうございました。
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