齊藤清隆が考えるバイクライフ
自分を高めてくれるライバル
-ショップの近況を。
齊藤 震災から1年が経ち、お客様からの修理と中古車の品揃えを優先してきました。今ようやく店舗のリフォームができるところまできました。震災後、お客様の支援のために何かできないかと考え、3号線店では1年間の無料点検とロードサービスのキャンペーンを実施してきました。
当店は、新車はもちろん、中古車をメーンに豊富なバイクを揃えています。在庫の数は当店ビックバイクステーション(3号線店)、ミニバイクステーション(57号線店)、ビッグガレージ(日吉店)の3店舗合計で700台以上になります。当店では約300台以上のバイクを揃えています。中古車の良さは、価格が手頃だという点もありますが、自分好みの色やパーツが付いていたりするといった偶然の出会いがあります。ですから、きれいな中古車の納車整備を常に心掛けています。初めてバイクに乗る人にとって、買ったバイクに癖があって乗りにくく、バイクって楽しくないと思われないようにしたいと思っています。何よりも中古車の整備力、きれいな中古車にこだわり、初めてバイクを買う方がバイクは乗りやすい乗り物だと最初にイメージしてもらうことがお店の使命だと思っています。
-おすすめのバイクは。
齊藤 「TRIUMPH THRUXTON R」です。昨年フルモデルチェンジしたばかりのトライアンフ・スラクストンRは、英国の伝統と最新技術を融合した究極のカフェレーサースタイルの一台です。「R」は最高のスペックを装備し、時代を超えた機能美と安全性を追求しています。水冷化した新型1200cc並列2気筒エンジンがアグレッシブでパワフルな走りを乗る人に与えてくれます。オートバイのデザインも原点に戻ったり、進化したりを繰り返しています。その昔、性能を追求した機能美にあふれるこのスタイルは、時代を越えて受け入れられる魅力があります。それでいて、最新技術のTCSやABSなどを装備しており、安全かつアグレッシブな走りを堪能できます。
-バイクに乗る際に気を付けていることは。
齊藤 他の車やバイク、歩行者など周囲への気遣いでしょうか。急な割り込みや、急な車線変更、無駄に大きな音を出すことなど、周囲に迷惑を掛けないようにしています。バイクに対して他のドライバーが不快な思いをしないようにルールとマナーを守り、メリハリある運転を心掛けています。
-バイクとの出会いは。
齊藤 高校2年になってすぐに病気で母を亡くし、元気のない当時の私を同級生が国内4メーカーの合同展示会に誘ってくれて、一緒に行ったのがバイクとの出会いでした。ものすごい衝撃というか、ワクワク感で、50ccから750ccまで展示してあったほとんどすべてのバイクに跨って、その場で「よし、バイクを買うぞ!」って決心したのを今でも覚えています。それから夏休みにバイクの免許を取得して、8月に初期型のホンダのMBX50を購入しました。不思議と父は私が自分で決めたことに対して反対もせず、黙って承諾してくれましたね。自分が父親になった今、よく考えてみると口出しもせずに、黙って息子に任せるというのはすごいことだと思います。そのお陰で、自分で決めたことは、自分で責任を持ってやることの大切さを教えられたような気がします。ですから、部活もしながら、バイトもして小遣いは自分で稼ぎました。そして働きながら専門学校に通い、整備士免許を取ることができました。ちなみに、初めて乗った大型バイクは、逆輸入の「ホンダCBR900RRファイアーブレード」でした。
-バイクの楽しみ方は。
齊藤 モータースポーツ全般に興味があり、ロードレース、モトクロス、トライアルなど色々かじってきました。特にサーキットが好きで、年に数回はお客さんや仲間たちと走ってます。ミニバイク耐久レースには毎年お客さんとチームを組んで出場もしています。ツーリングも好きなんですが、一人でのツーリングはしませんね。私の場合、ツーリングは必ず誰かと一緒に走り、みんなで楽しむのが好みです。
-おすすめのスポットは。
齊藤 沢山ある中でも、景色で最高に感動したルートは、阿蘇駅交差点から県道11号線で山頂方面に向かう阿蘇パノラマラインです。あるお客さんから個人的に誘われたツーリングの帰り道、一緒に帰ろうと言われて後を着いて走った時、ちょうど10月頃でススキが一面に広がっていて、そこに夕陽が差し込み、私の前方を走るお客さんがバイクと一緒に輝くススキと夕陽に溶け込むように走っている姿を見て感動しました。とても幻想的な風景で走りながら「スゲー!」とずっと叫んでいました。数日後、妻をバイクの後ろに乗せて早速もう一度同じルートに行きましたね。
残念なことに、その道も震災でしばらくの間は山肌がめちゃめちゃになりましたが、震災と同じ年の秋に開通できたというニュースを聞き、うれしく思いました。また、ピースライドでもステッカー販売などで微力ながら応援させて頂きましたが、もっとバイクで阿蘇をはじめ熊本をツーリングし、地元の観光を応援していけたらと思います。
-人生においてバイクとは。
齊藤 理屈抜きに、感覚と直感でこのバイクの世界に飛び込み、バイク一筋できました。よく「バイクは恋人」と言われますが、私にとって、バイクは恋人ではなく、人生において自分を高めてくれる「ライバル」なんです。恋人は何人でもいたらおかしいですよね(笑)。ですが、ライバルは何人いてもいいわけで、様々なシチュエーションで自分を高めてくれるものです。自分が上手く操って、最高のパフォーマンスを見せれば、バイクもそれに合わせて最高のパフォーマンスを発揮してくれます。だから、それに負けないようにお互いに切磋琢磨して共に感動していける。それがバイクだと思います。
-ありがとうございました。
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